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ビフィズス菌を増やすことのメリット
ビフィズス菌を摂取することで、いろいろな健康効果を期待できます。
ここでは、お腹の調子を整える「整腸作用」、免疫力を高める効果、腸内フローラの改善作用、体臭・口臭と便臭などのニオイ軽減効果、肌荒れを抑える作用、アレルギー症状の緩和作用などについて、具体的に説明します。
※ ビフィズス菌以外の乳酸菌の効果についても、一緒に紹介しています。
お腹の調子を整える作用
ヨーグルトやサプリメントでビフィズス菌を摂るときに、多くの人が期待しているのがお腹の調子を整える効果、いわゆる整腸作用だと思います。
下記のページのデータは、ビフィズス菌(ロンガム種)を継続的に摂ったときのものです。このデータによれば、排便回数の増加、つまり便通の改善が科学的に証明されているということになります。
参考 : ビフィズス菌BB536とは - 整腸作用
ビフィズス菌を増やすことが、なぜ便通の改善に役立つのかというと、その理由は乳酸菌やビフィズス菌がつくりだす「有機酸」にあります。
乳酸菌やビフィズス菌は腸内の善玉菌として考えられていますが、これらの善玉菌は糖を分解することによって、乳酸や酢酸などの有機酸をつくります。そして、乳酸は酪酸やプロピオン酸に、酢酸も酪酸に変化します。
酢酸や酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸は、腸を刺激してぜんどう運動を促進します。
ぜんどう運動とは、腸が中にある食べ物カスを先へ先へと送り出す運動のことで、この筋肉の動きによって腸の内容物が直腸へと運ばれて、最終的に肛門から出ていきます。
善玉菌が産生する短鎖脂肪酸のおかげで、このぜんどう運動が適度にうながされて、便秘の予防や改善につながるのです。これが、ビフィズス菌を増やすことで整腸作用が発揮されて、排便回数が増えるしくみです。
筋肉の比較的すくない女性や高齢者は便秘になりがちですが、それを防ぐためにも善玉菌を摂ることは有効なのです。
« 便秘の予防・解消の効果を期待できる菌 »
- ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536株
- エンテロコッカス・フェカリス・EC-12株(フェカリス菌)
- エンテロコッカス・フェシウム・JEF01株
- ストレプトコッカス・サーモフィラス・1131株(LB81乳酸菌)
- ラクトバチルス・パラカゼイ・KW3110株
- ラクトバチルス・ガセリ・SBT2055株
- ラクトバチルス・カゼイ・N-1株
- ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株
免疫力を高める働き
ビフィズス菌を増やすことは、免疫力を高めることにもつながります。
なぜ免疫力が上がるのかというと、ヒトの腸には全身の約70%もの免疫細胞が集まっていると考えられていますが、ビフィズス菌の摂取によって、その免疫細胞が刺激されて活性化するからです。
人間のもつ免疫システムには、「自然免疫」と「獲得免疫」の2つがあります。
自然免疫とは、ふだんから体内をパトロールしており、外敵を排除したり食べたりする免疫細胞たちのこと。たとえばナチュラル・キラー細胞(NK細胞)や、好中球、マクロファージ(貪食細胞)などが該当します。
自然免疫は、病原菌やウイルスなどの外敵が侵入したときに、いち早く対応する役目があります。また、体内で発生したガン細胞を壊す役割も担っています。
もうひとつの獲得免疫とは、自然免疫を突破されたときに、より強力な方法でウイルスなどを排除するためのシステムです。その病原菌に対して、特別有効な「抗体」(免疫グロブリン)をつくる免疫系でもあります。
獲得免疫には、自然免疫と同じように外敵を食べる樹状細胞や、その樹状細胞から情報を受け取って、B細胞に抗体をつくるように指示を出すヘルパーT細胞、外敵を排除したあとに免疫細胞をおとなしくさせる制御性T細胞などがあります。
これらの免疫細胞は、病原菌やウイルス、食べ物(アレルゲン)などが大量に押し寄せる腸管に多く集まっており、腸の表面にある「上皮細胞」の周辺にも存在しています。
そして上皮細胞には、「トル様受容体」(TLR)と呼ばれるタンパク質があります。このTLRこそが、ビフィズス菌の摂取による免疫力アップに貢献しています。
ヒトのTLRは10種類あり、それぞれが結合する成分はちがいます。この中で、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の成分と結合するものがあります。
トル様受容体と、ビフィズス菌などの成分であるペプチドグリカンやリポペプチドなどとの結合が起きたときに、免疫細胞内に信号が走り、それが細胞の中心部に伝わることで活性化するようにできています。
つまり、善玉菌の成分が、腸壁にある細胞とくっつくことが、免疫力を高めるスイッチになっているということです。
この仕組みは、乳酸菌やビフィズス菌の菌体成分が関係しているものであり、善玉菌が生菌であっても死菌であっても、変わらず効果を発揮すると考えられています。
そのため、乳酸や酢酸などの産生による整腸効果とはちがい、免疫力アップの恩恵は、殺菌処理されたビフィズス菌を摂取することでも受けられるのです。
« 免疫細胞の活性化を期待できる菌 »
- ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536株
- ビフィドバクテリウム・ラクティス・HN019株
- エンテロコッカス・フェカリス・EC-12株(フェカリス菌)
- ラクトバチルス・ブレービス亜種コアギュランス(ラブレ菌)
- ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株
- ラクトバチルス・ガセリ・SBT2055株
« 風邪やインフルエンザ予防の効果を期待できる菌 »
- ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株
- ラクトバチルス・アシドフィルス・L-92株
- ラクトバチルス・ペントーサス・S-PT84株
腸内フローラの改善効果
「腸内フローラ」とは、カンタンに言えば腸内細菌のバランスのことです。腸内には善玉菌や悪玉菌、そして日和見菌がそれぞれのナワバリに整然と並んでおり、そのさまを顕微鏡で見ると、まるでお花畑のようになっているといいます。
そこから、腸内細菌の生態系のことを、花の女神フローラの名前をとって腸内フローラと呼ぶようになったそうです。
その腸内フローラは、赤ちゃんのころに全盛期を迎えます。母親の胎内にいる赤ちゃんは無菌状態にあり、腸内に細菌は存在しませんが、生まれるとすぐに腸内細菌がすみつきます。
最初の数日間は大腸菌などの悪玉菌が勢力を広げますが、その大腸菌などによって酸素が消費されると、酸素のほとんどない環境を好むビフィズス菌などの善玉菌が大勢をしめるようになります。
だいたい、生後1週間以内にはビフィズス菌が優勢になり、その割合は95%以上にも及ぶとのことです。
しかし、そうして増えたビフィズス菌も、離乳期がはじまると数を減らしていきます。離乳食を食べるようになると、赤ちゃんの腸内はだんだんと成人のそれに近づいていき、善玉菌の割合は20%程度まで低下します。
この状態が保たれれば腸内環境は良いと言えるのですが、成人するころまでビフィズス菌などの善玉菌を多く保てる人はあまり多くありません。
一般的には、成人するころには、ビフィズス菌の占有率は10%程度まで下がると考えられています。これは、加齢やストレス、乱れた食生活などが原因で乳酸菌やビフィズス菌が減少するからです。
そこで、サプリメントやヨーグルトなどで善玉菌を摂取して、ビフィズス菌などの減少を食い止める必要があります。
善玉菌と悪玉菌は常に勢力の綱引きをしており、一方が増えればもう一方は減ります。また、善玉菌を増やすことで腸内の有機酸が増えると、善玉菌よりも酸に弱い悪玉菌は、その数を減らします。
こうして、ビフィズス菌を摂ることが、悪玉菌の増殖を抑えることにつながります。善玉菌の摂取によって、腸内フローラは改善されるのです。
体臭・口臭と便臭の軽減効果
腸内フローラの改善は、ニオイを抑える効果にもつながります。
ウェルシュ菌(クロストリジウム・パーフリンゲンス)や大腸菌(有毒株)に代表される悪玉菌は、腸内を腐敗させます。おもにタンパク質を分解して、アンモニアやアミン、硫化水素、フェノールなどの毒素を出します。
これらの有害物質は、便として排出されれば便臭になり、腸内のガスに混ざれば臭いオナラになり、腸壁に吸収されて全身をめぐれば汗や呼気として排出されて、体臭や口臭になります。
悪玉菌が増えることで、腸内の有害なガスが増えて体臭や口臭、便臭の原因になるのです。
反対に言えば、悪玉菌が減ることで、これらの不快な症状を抑えられる可能性があります。善玉菌を増やして腸内フローラを改善することで、有毒なガスが減り、便臭やオナラのニオイが軽減されるというわけです。
肌トラブルの抑制作用
ビフィズス菌摂取による効果としてあまり知られていないものに、肌トラブルの抑制作用があります。
これについては科学的なエビデンスはないようですが、すでに説明した体臭の原因にもなる有害物質が、カラダ中をめぐることによって肌荒れが引き起こされると考えられています。
そして、ビフィズス菌の増加による腸内フローラの改善によって、その肌トラブルが軽減されるという仕組みが考えられます。
« 肌荒れ改善効果を期待できる菌 »
- ビフィドバクテリウム・ブレーベ・ヤクルト株
- ストレプトコッカス・サーモフィラス・1131株(LB81乳酸菌)
- ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス・FC株
アレルギー症状の緩和効果
善玉菌にはアレルギー症状を改善する作用もあります。
アトピー性皮膚炎や花粉症、食物アレルギーなどは、免疫細胞のひとつであるT細胞のうちの、Th1とTh2のバランスが崩れることによって起こるとされています。
Th1には、自然免疫系のナチュラル・キラー細胞(NK細胞)やマクロファージを活性化する働き、Th2には、獲得免疫系のB細胞に指示を出して、抗体(免疫グロブリン)をつくらせる働きがあります。
この2つのバランスが整っていれば問題ないのですが、Th2が強くなってしまうと、抗体が過剰に生成されてしまい、必要以上の防御反応が引き起こされます。それがアレルギーの原因になります。
一部のビフィズス菌や乳酸菌には、この2つの細胞間のバランスを整える作用があることがわかっています。それによって抗体の過剰生成がなくなることで、アレルギー症状が緩和されるという仕組みです。
参考 : ビフィズス菌BB536とは - 抗アレルギー作用
参考 : アレルギー症状緩和の証明 | カルピス社の健康情報室
また、ビタミンB群の1種である「ビオチン」の欠乏が、アトピー症状を強くするという研究もあります。
フェカリス菌という乳酸菌はビオチンを食べるので、アトピー症状が出ている人には良くないという話もありますが、反対に、ビフィズス菌ロンガム種BB536株や、アシドフィルス菌という乳酸菌は、ビオチンをつくりだします。
そのため、もしビオチン不足がアトピー性皮膚炎のひとつの要因になっているという場合には、ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536やアシドフィルス菌の摂取が、症状緩和に有効である可能性があります。
« アトピー性皮膚炎への効果を期待できる菌 »
- ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536株
- ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス・LKM512株
- ラクトバチルス・アシドフィルス・L-55株
- ラクトバチルス・アシドフィルス・L-92株
- ラクトバチルス・ラムノーサス・GG株(LGG乳酸菌)
« 花粉症改善の効果を期待できる菌 »
- ビフィドバクテリウム・ロンガム・BB536株
- ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス・GCL1176株
- ラクトバチルス・パラカゼイ・KW3110株
- ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株
便秘や花粉症、風邪やインフルエンザなど、生活するうえでネックになるこれらの症状が、ビフィズス菌の摂取によって少しでも改善されるなら、それは嬉しいことですよね。